都市計画論文集
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歴史的建築物保存における収益施設化に向けた最適改修割合
京都市歴史的建築物の保存および活用に関する条例適用事例に基づく検証
井澤 佳織渡部 宇子本間 裕大今井 公太郎
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 56 巻 3 号 p. 1144-1151

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抄録

近年,歴史的建築物を収益施設に改修する手法が保存活動の主要な戦略の一つとなっている.この戦略を持続可能なものにするためには,収益特性などの基礎的な構造を検討することが有用である.本研究では,歴史的建築物を収益施設に改修する際の最適な比率を分析する意思決定モデルを提案する. また,モデルを拡張し実事例から具体的な工事費用と収益,改修割合のパラメータが収集できた際に,その背後に存在したであろう収益特性を推定するモデルへと展開する.その上で,京都市の条例が対象とする7つの歴史的建築物に拡張モデルを適用した.このケーススタディでは,事例間の共通パラメータだけでなく,各建築物の異なる状況も示している.本数理モデルを京都市の事例を実際に用いて検証したことで,収益特性を逆算的に絞りこめることも明らかとなった.これまでの費用便益分析は積み上げ型が主流であったのに対し,それとは全く異なる数理的アプローチができる可能性を示した点も本研究の大きな新規性と考えている.

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