本研究は、地方都市の商店街におけるオンライン上の広報活動の取り組みに着目し、この10年間で普及した情報通信技術への対応状況を明らかにするものである。岩手県櫻山商店街の店舗経営者を対象にアンケートを行ない、経営者の出店理由、業種、客層の変化を明らかにした。調査の結果、4つのこと(1.この10年間で新規出店者と若い出店者が減っていたこと、2.立地の良さの重要性が高まっていたこと、3.高齢者や昔から経営している店舗ほどSNSを利用していなかったこと、4.オンライン上の広報活動により客層の拡大と集客効果が期待できたこと)が明らかになった。この結果から、周辺環境が良い場合、オンライン広報活動に慣れた世代の新規出店によって、地方都市の商店街でも情報化社会への対応が可能であることがうかがえた。