2025 年 60 巻 3 号 p. 579-586
本研究では、日本版BIDにおいて検証の仕組みが不足するという課題に着目し、シンガポールの「Pilot BID Programme」の分析を通じて、段階的なBID制度の活用手法として「実験的BID制度」の有効性を明らかにすることを目的とした。研究方法としては、シンガポールの都市再開発庁及びエリアマネジメント団体へのヒアリング調査と現地調査を行い、プログラムの制度設計、運営体制、活動内容等の特徴及び成果を分析した。その結果、「Pilot BID Programme」では各地区に自由度を与えた柔軟な負担金徴収方法や補助金・伴走支援・調整機能といった包括的支援体制等により、後の本格的な法整備に向けた検証及び基盤構築を可能としたことが確認できた。これらの知見から、日本においても同様の試験的仕組みを導入することにより、エリアマネジメント団体の組織基盤の構築と地域特性に応じた仕組みの検証が促進され、日本版の普及拡大に寄与することが示唆された。