2000 年 20 巻 p. 269-278
明治初期に建設された大阪-神戸間 (阪神間)、京都-大阪聞 (京阪間) の鉄道では、わが国の鉄道用としては初めての鉄製橋梁やトンネルが建設され、その後の鉄道土木技術の原点となった。また、わが国で初めての煉瓦構造物群が建設された線区でもあり、トンネルやアーチ橋、橋台・橋脚などに使用された。本研究では、これらの煉瓦・石積み構造物群の現状を現地踏査により明らかにするとともに、その特徴について考察を行った。分析の結果、130年に及ぶ歳月を経て、今なお供用され続けている構造物が多数確認された。また、後に建設される煉瓦構造物の基本となる技術がすでにこの段階で確立され、デザイン的にもその原点となったことが明らかにされた。