1995 年 12 巻 p. 317-326
魅力ある落水表情は河川景観において重要な役割を担っている。しかし河川横断構造物では設計からそれが考慮されることは稀であり、人工の滝のデザインでも経験に基づくのみで水理学的な考察が欠如している。そこで本論は、自由落下型の落水を対象として、現実表情の観察による落水表情の分類、既存の水理学経験式等の適用による規定要因の考察、予測と現実表情との比較を通して、落水表情の予測、制御が可能となるデザイン方法論を提示した。以上のように本論は、水理学上の新たな知見を得るものではないが、落水現象を景観的視点から全体的に把握し、水理学上の理論をデザイン方法論へ統合したことに意義があると考えている。