1996 年 13 巻 p. 225-232
低成長時代においては、社会資本整備が地域に及ぼす効果を経済的指標で捉えることは難しく、むしろ社会資本整備が住み易さやイメージの向上といった地域に関わる認識の高さに影響を及ぼすことで地域間競争が進む側面も有ると考えられる。本稿ではこのような「認識上の地域」に着目し、その実態と決定に及ぼす要因について分析方法の提案を行い、それを実空間に適用した。具体的には、地域名選択確率という概念を導入し、「つくば地域」を対象に数量化モデルを適用することによって社会資本整備をはじめとする諸要因が地域認識に及ぼす影響を定量的に検討した。さらに、認識上の地域が有する階層構造についてもその特性を明らかにした。