2000 年 17 巻 p. 257-266
都市交通の整備を評価するためには, 交通体系に及ぼす影響だけなく立地変化に及ぼす影響も考慮する必要がある. 本研究では, 従来の土地利用-交通モデルあるいは交通立地モデルを, 都市経済理論に理論的基礎をおき, 実証分析への適用を意図した応用都市経済 (CUE) モデルとして再構築した. CUEモデルでは, 便益を定義することが可能であり, 特にゾーンごとに便益を計測することができるという特徴を有している. この点は, 既往研究でも示されていたが, そこではゾーン全体での便益を計測するという点での検討が十分になされておらず, 住み替えを行った人々の便益の扱いも不明瞭であった. そこで, 本研究では, 々についても考慮し得るゾーン別社会的純便益の定義を行った. そして, 数値計算結果についても明らかにし, 整備による便益の地域別帰着構造を明らかにした.