本研究では震災時における傷病者の移動について文献レビューを行い、その問題点を指摘するとともに、医療機関ポテンシャルを定義して来院傷病者数の予測手法を提案した。本モデル式ではロジスティック曲線を基本に、距離、医療機関の魅力度、道路閉塞の有無を考慮している。これを兵庫県西宮市に適用して高い現実妥当性を確認するとともに、傷病者が特定の医療機関へ集中するのは、医療機関のロケーションに問題があること、高架構造物の落下による交通の寸断が原因とは一概にはいえないことを明らかにし、地域防災計画に対していくつかの提言を行った。