抄録
ロードプライシングは交通問題を解消しえると期待されているが, その社会的受容の水準は概して低く, 現実に実施することは容易ではない. 従来の筆者らの研究から, 運転者のロードプライシングの受容意識に影響を及ぼす要因として公正知覚や自由侵害知覚などが明らかにされてきたが, それらの心理要因の決定要因は十分に明らかにされていなかった. 本研究は, それらの心理要因に環境意識 (Fransson & Gärling, 1999) が影響を及ぼすとの仮説を提案し, その妥当性を検定することが目的である. データに基づいた検定の結果, 当該仮説が妥当であることが示された. この結果を受けて, 社会的ジレンマの解消方略として, 環境意識に働きかける心理的方略の有効性を議論する.