2002 年 19 巻 p. 275-282
本研究では道路勾配を考慮した自動車NOx排出量の算出モデルを提案し、勾配とNOx排出量の関連性を明らかにするとともに、経路選択問題におけるNOx排出量削減について検討した。この結果、道路勾配の存在を仮定したことによって走行方向が大きな寄与を持つこと、速度変化パターンに従った走行を等速走行であると仮定することでNOx排出量が過小評価されることなどが定量的に評価された。またこの算出モデルを経路選択問題へ適用したところ距離最短の解を走行する場合に比べ、出発地と異なる目的地へ向かう場合で最大3.7%、複数の目的地を巡回して出発地へ戻ってくる場合で1%程度のNOx排出量削減の余地が存在することが示された。