2002 年 19 巻 p. 331-338
水辺は都市と水域の双方を包含する境界領域であり, 舟運や陸運など様々な都市基盤が接続する結節点である. 本研究では, 京都伏見を対象地として歴史的な文献・資料等を用い, インフラストラクチャーとしての水辺の近代化プロセス, 都市空間への影響を分析した. 近世の水辺は物流・旅客のターミナルとして機能し, 都市施設を集積させ都市的な賑わいの基盤となった. 近代においては, 近世以来舟運により保持されてきた都市機能やアメニティは鉄道駅周辺へと移行し, 水辺の工業基盤機能が卓越するようになった結果, 都市アメニティを享受する場としての水辺が散漫になった. このような都市形成のメカニズム, 及びそこで水辺が果たした役割が本論文にて明らかになった.