2002 年 19 巻 p. 91-98
環境等の非市場材の価値を計測する手法として注目を集めているCVMには, 様々なバイアスが存在する危険性が指摘されているが, それらを回避し, 適切に価値計測を図るためにNOAAのガイドラインが提案されている. しかし, このガイドラインの信頼性そのものについては, 未だ十分に検証されていない. 本研究は, この点を検討するために, ガイドラインに基づいて設計され全国規模で実施された栗山らによる屋久島の自然の価値計測のためのCVMを模倣し, 発話プロトコル法と呼ばれる認知心理学における分析技法を用いて被験者の意思決定プロセスを分析する. 分析の結果NOAAのガイドラインでも適切に価値計測を行うことは容易ではないことが示された.