抄録
本研究では, 今日の土木事業に対する批判的風潮をもたらす心理要因について分析する事を目的とし, 人々の土木事業に対する賛否意識形成の因果構造についての仮説を社会心理学, 政治心・理学, 既存のマスメディア研究から措定し, その仮説を無作為に抽出した京都市民を対象とした調査データ (N=680) を用いて検証した. そして検定の結果, 本研究で措定した土木事業に対する賛否意識についての因果関係仮説は, いずれもデータによって支持された.
また, それに加えて, 個人属性やマスコミの接触状況が各心理要因に及ぼす影響を, 探索的に分析した. この結果より, マスコミが土木事業の賛否意識に少なからず影響を及ぼしていることが示唆された.