2006 年 23 巻 p. 417-422
近年, 中心市街地の活性化が都市計画上の重点課題として掲げえられ, 個性あるまちづくり, 街路歩行空間の創出が望まれている.本研究では, 街路歩行空間の空間構成と歩行者挙動の相互関係に着目し, 盛岡市内の性格の異なる3つの街路を対象にした観察データをもとに, 街路歩行空間上の歩行者通行軌跡, 進行方向変更確率, 占有時間およびデッドスペースの詳細な分析を行った.その結果, 歩行者の歩道中央への集中傾向, 滞留の発生箇所, 歩行者の上下流動の分離, デッドスペースの定常的な発生が観察され, 街路の個性によって歩行者挙動に異なった様相が生じることを明らかにし, 対象街路の個性に対応した歩行空間設計上の指針を観察データに基づき導出することが可能になることを示した.