抄録
本研究では,心理的方略による放置駐輪削減施策として,フェイス・トゥ・フェイスによる説得的コミュニケーションに着目し,本施策を継続的に実施することによる集計的効果について実証的に検証することを目的とする.この目的の下,東京工業大学大岡山キャンパスにおいて,通年にわたって説得的コミュニケーション施策を実施し,その効果を計測した.その結果,放置駐輪台数については,取り組み当初の台数から,前期において平均で約4割弱の減少,後期において平均で5割以上の減少といった効果が確認された.駐輪場の利用台数については,前期において平均4.9%の増加が見られ,後期において平均11.9%の増加が見られた.さらに,約8割の人々が,コミュニケーションの後に自転車をその場から移動させたことが確認された.