抄録
わが国の少子高齢化が進展して久しい。増え続ける高齢者と減り続ける年少者という状況を前向きに捉えれば、 年少者に対する豊かな教育環境が整っているといえる。 我々は小学校の授業の中で高学年児童が高齢者ボランティアと集中的な交流を持つ“交流授業” を展開している。 向社会的な高齢者との集中的な交流は、児童にとってコミュニケーションスキルの新たな獲得の機会となるだけでなく、既に学習したコミュニケーションスキルを活用する場となることが考えられる。本稿では、公立小学校において絵本の読み聞かせを題材とした交流授業を実施し、それらが6年生児童のコミュニケーションスキルに及ぼす影響について比較対照群を設定した介入研究から検討した。その結果、児童が人の話を聞く際の「うなずく、あいづちをうつ」 行 為の知識と意識、自身が人に話す際の「相手に体を向ける」知識と意識および行動、「年上の 人には敬語を使う」知識に介入効果がみられた。