抄録
看護系大学が主催する都市部における高齢者と小学生の継続的な世代間交流プログラムにおいて生じる両世代間の交流、および高齢者のgenerativity (世代継承性)についてのエスノグラフィーを示した。その結果、高齢者の世代継承性は異世代への関心の強さの表れであり、小学生に高齢者の言動が受け入れられることで成立していた。一方、世代継承性を発揮しなかった高齢者は、認知症や虚弱等、小学生への関心や物理的距離を縮める自身の力が弱く、世代間交流が自然には起きにくい者、小学生の行動を一方的に正そうとする者であった。関心を持っていても認知機能の低下や身体的脆弱性のために異世代との交流に発展しない場合には、主催者である看護教員がサポートしながら、両世代を結びつけていた。また、本プログラムでは両世代が時間と空間を共にすること自体も重視されていた。場の共有も含めた自然な交流の促進により、老年期の終盤になっても世代継承性が発揮できる可能性が示唆されている。