2010 年 126 巻 6 号 p. 190-195
塩酸溶液からのタングステン (VI) の抽出がTOPO (トリオクチル フォスフィン オキシド) およびDHSO (ジヘキシル スルフォキシド) のベンゼン溶液により種々の条件で検討された。そして有桟相への抽出物が赤外線スペクトルの測定により調べられた。その結果それらの抽出は次のような平衡式により示されることが判った。すなわちWO2Cl2 (aq) + 2TOPO (org) ⇄ WO2Cl2・ 2TOPO (org) およびWO2Cl2 (aq) ⇄ + 2DHSO (org) ⇄ WO2Cl2・2DHSO (org) 。そのうえタングステン酸クロロ錯体WO2Cl2・2L (L=TOPOおよびDHSO) は配位数6のダングステンの八面体構造であることが明らかになった。さらにそれらのタングステン (VI) の抽出効果がTBP (リン酸トリブチル) による場合と比較され,その効果はTOPO > DHSO > TBP の順序であることが知られた。