2004 年5 月にホンタイ炭鉱で自然発火が発生して以降,ベトナムの四カ所の無煙炭炭鉱と一カ所の亜瀝青炭炭鉱で自然発火が続発している。これらに対処するため,筆者等は断熱環境下で石炭の酸化発熱試験ができる装置を使用して,各炭鉱の石炭試料について酸化発熱特性の試験を行っている。これらのデータについて実際に自然発火を発生している炭鉱の試料に注目してみると,150 ℃以下の低温領域の酸化反応速度が他の自然発火を発生していない炭鉱の石炭試料に比較して大きいことを見出した。即ち,低温域における石炭の酸化反応速度が自然発火の発生と深い関係があるという結論を得た。既存の自然発火性評価方法との比較も試みた。