Journal of MMIJ
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黄銅鉱の酸化溶解挙動に及ぼす熱処理の影響:合成鉱物を用いた電気化学的調査
小森田 勝也 谷ノ内 勇樹中野 博昭
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ジャーナル オープンアクセス 早期公開

論文ID: MMIJ-2025-008

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抄録
天然資源に含まれる黄銅鉱の浸出機構は、湿式製錬プロセスによる銅生産の拡大に向けた重要な知見となる。この知見を得るには、組成や形態を制御した合成黄銅鉱を用いた調査も有用である。本研究では、合成黄銅鉱のバルク体試料を作製し、Fe2(SO4)3 − H2SO4溶液中での酸化溶解挙動に対する事前の熱処理の影響を調査した。黄銅鉱の化学量論組成(Cu0.25Fe0.25S0.50)を有する緻密なバルク結晶は、パルス電流加圧焼結(PCPS)を行った後にアニール処理を行うことで得た。事前の熱処理として石英アンプル内に真空封入して580 ℃で保持したところ、黄鉄鉱(FeS2)が微量に析出し、黄銅鉱相の組成はわずかに変化した。70 ℃の0.1 M Fe(SO4)1.5 − 10-4 M FeSO4 − 0.18 M H2SO4溶液による浸出試験を行った結果、事前の熱処理を施すことで、Cuの溶出速度が約1桁増加するとともに、腐食電位が卑な値へ移行することが分かった。また、70 ℃の0.18 M H2SO4溶液中での分極測定によって、熱処理後には黄銅鉱のアノード溶解速度が大きく増加することが分かった。さらに、黄鉄鉱が共存していない非化学量論組成の黄銅鉱バルク試料を作製して浸出挙動を評価したところ、熱処理後の試料と同程度に溶解速度が大きかった。したがって、事前の熱処理による黄銅鉱の溶解促進は、析出した黄鉄鉱相とのガルバニックな相互作用によるものではなく、わずかな組成変動による黄銅鉱相の反応性の変化が主要因であると結論付けられた。
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