Journal of Pesticide Science
Online ISSN : 1349-0923
Print ISSN : 1348-589X
ISSN-L : 0385-1559

この記事には本公開記事があります。本公開記事を参照してください。
引用する場合も本公開記事を引用してください。

イネの酢酸処理に伴うGABA生合成とその蓄積
伊左治 俊策吉永 直子寺石 政義小川 大輔加藤 悦子奥本 裕土生 芳樹森 直樹
著者情報
ジャーナル フリー 早期公開
電子付録

論文ID: D18-036

この記事には本公開記事があります。
詳細
抄録

イネ(Oryza sativa)は干ばつで枯死するとその後に給水しても復活することはないが,酢酸水溶液を与えたイネは,乾燥ストレスで一度地上部が枯れながらも,再給水すると新たに地上部を伸長させる特異な乾燥耐性を獲得する.処理中の酢酸代謝を解明するために,13Cで標識した酢酸をイネに処理し,LC-MS及び13C-NMRで13C標識された酢酸代謝物を追跡した.根抽出物のLC-MS及び13C-NMRの分析結果から,処理された酢酸はイネ体内に取り込まれ,グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)によってγ-アミノ酪酸(GABA)に代謝されると示唆された.酢酸処理したイネのGABA蓄積量を調べると,根に続いて地上部でGABAが蓄積され,また地上部のGABA蓄積量に比例して乾燥ストレスに対する生存率が増加した.以上から,地上部のGABA蓄積が酢酸によるイネの乾燥耐性に寄与する可能性がある.

著者関連情報
© 2018 Pesticide Science Society of Japan
feedback
Top