Journal of Pesticide Science
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ハスモンヨトウ幼虫の皮膚切片における殺虫剤透過の薬物速度論的解析
大井 正典本山 直樹
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16 巻 (1991) 1 号 p. 47-55

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抄録

拡散セルに装着したハスモンヨトウ幼虫の皮膚切片に, バミドチオン, カーバリルおよびフェンバレレートを局所施用して透過性を調べた. 低薬量ではカーバリルの透過が最も速く, バミドチオンはカーバリルより少し遅かった. 一方, フェンバレレートはこれらの化合物と比較して透過速度はきわめて遅かった. 高薬量を処理した場合は透過の割合が減少し, この傾向はとくにカーバリルとフェンバレレートで顕著であった. 透過速度の薬量依存性を Michaelis-Menten の速度式で近似して, バミドチオン, カーバリル, フェンバレレートの最大透過速度Vと Michaelis 定数Kmを求めたところ, おのおの0.021, 0.015, 0.0029μg/hr, および0.072, 0.016, 0.29μgであった. また, 速度論的には Michaelis-Menten 型の速度過程とは別に, 1次式に従う速度過程が存在する可能性が示され, 1次速度定数knはおのおの42, 6.5, 0.74×10-3hr-1であった. 一方, 皮膚に蓄積された放射能の割合は, 低薬量 (0.1μg/頭) ではどの化合物も処理薬量の10から20%で大きな違いはなかったが, 高薬量では減少し, この傾向はとくにフェンバレレートで顕著であった. 薬剤の透過速度と皮膚への蓄積に対するこれらの薬剤の組合せの影響を調べたところ, 14C-カーバリルとバミドチオンの組合せのように透過速度と蓄積量が両方とも減少する場合もあれば14C-フェンバレレートとバミドチオンの組合せのように皮膚への蓄積量にしか影響しない場合もあることから, 昆虫の皮膚を通しての殺虫剤透過には Fick の拡散の法則以外の因子が関与していることが示唆された.

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