Journal of Pesticide Science
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幼若ホルモン様物質NC-170のヨコバイ類の変態, 産卵, 胚子発生に対する影響
三宅 敏郎春山 裕史小倉 友幸満井 喬桜井 成
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1991 年 16 巻 3 号 p. 441-448

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抄録
ピリダジノン環を有する新規JHM, NC-170は, ツマグロヨコバイをはじめとする4種のヨコバイ類の変態を強く阻害し (ID50=5.2×10-11~3.7×10-12g/larva), その活性はJH-1の10~30倍であった. 更に, NC-170は, ツマグロヨコバイ成虫の産卵には影響を与えないが, 4ppm以上の茎葉散布で産下された卵の孵化を強く阻害する. これは, 卵内に取り込まれたNC-170が胚子発生の初期の生理現象を攪乱し, その結果, 孵化が阻止されるものと想像された. NC-170のJH様作用がツマグロヨコバイの野外個体群に与える影響を調べたところ, 100ppmの茎葉散布により, 6週間以上にわたってその密度を低く抑え, NC-170の防除剤としての可能性が示唆された. この効果は, NC-170の稲体上での長期の残効性に, 大きく依存しているものと考えられた.
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© 日本農薬学会
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