抄録
土壌からの分離細菌A-1株は coryneform グループに属し, 基質アセトアニリド (AAN) とのインキュベーション下で著しく活性化される特異な aryl acylamidase を産生した. 本酵素はAAN共存下での硫安分画, イオン交換クロマトグラフィーおよびゲル濾過によって263倍まで精製され, その SDS-PAGE は同種の既知細菌産生酵素よりかなり大きい分子量 (127,000) をもつ単一バンドを与えた. 精製活性化酵素は温度や幾つかの金属イオンに対する安定性を増すとともに, naproanilide, chlorpropham, propanil および linuron に対しても加水分解活性を示した. これらの基質飽和曲線の酵素反応論的解析は, 分子内のアニリン部位が無置換体であるものの方が塩素置換体であるものより基質として適していることを示した. これはAANによる活性化で, 酵素の構造が無置換体に対してより適合するように変化したためと考えられた.