抄録
土壌生態系に及ぼす農薬の影響は, 環境要因による微生物の数や活性の変動幅との比較の上で評価する必要がある. このような観点から, 島根県松江市近郊にある近接した肥培管理の異なる2水田を対象に, 1997年5月から1998年12月までの20か月間にわたって, 土壌中の窒素循環に関わる微生物活性の自然変動を調査した. 2作期を通じた硝化活性, アンモニア化成活性, プロテアーゼ活性およびアンモニア酸化細菌数の変動係数 (CV) は, それぞれ16~20, 39~53, 31~62および88~174%であった. これらの値は肥培管理の違いにかかわらず同程度であり, 室内試験や短期の圃場試験の結果から土壌微生物に対する農薬の影響を評価する際に参照されるべきであろう.