Journal of Pesticide Science
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ドデシルベンゼンスルホン酸塩のTMV感染に対する阻害作用
渡部 忠一松沢 安秀黄 耿堂見里 朝正
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5 巻 (1980) 4 号 p. 503-509

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抄録

スルホン酸系界面活性剤のTMV感染に対する阻害機構を明らかにする目的で, 分岐鎖型ドデシルベンゼンスルホン酸のNa塩およびCa塩 (前者をDBS-Na, 後者をDBS-Caおよび両者をDBSと略す) の作用性について, インゲンを用いる局部病斑試験法によって検討した.
TMVとDBSを混合して接種する場合にはDBS 1,000ppmで, TMVの接種後にDBSを処理する場合にはDBS 2,000ppmで, また, DBSを処理したのちTMVを接種する場合にはDBS 2,500ppmで, 局部病斑の形成が90%以上阻害された. TMVとDBSを混合して接種する場合, その阻害効果は, 両者の量的な混合割合および混合時間によって影響されず, 主としてDBSの濃度に依存した. Ca塩がNa塩に比べていくぶん高い阻害効果を示した. TMVとDBSの相互作用を, ゲル濾過, 遠心分離およびシュリーレンパターンの測定によって調べた結果, ウィルス粒子の崩壊, 吸着または反応による不活化が阻害効果に関与しているとは考えられない. TMVを接種したのち, 約4時間以内にDBSを処理する場合には, 局部病斑の形成はほとんど完全に阻害されたが, それ以降の処理では阻害効果は減少し, 15時間後ではまったく阻害効果は認められなくなった. 葉柄部から, DBS-Caを取り込ませてTMVを接種すると, DBS-Caの水溶液濃度が200ppm以上で感染が顕著に阻害されたが, インゲン葉の葉脈に沿ってクロロシス様の薬害症状が認められた.
以上の結果から, DBSのTMVの感染に対する阻害作用はTMV粒子の崩壊や不活化によるものではなく, 宿主細胞における, TMVの侵入からRNAの複製の開始に至る増殖初期過程が, 宿主細胞の細胞膜機能の障害および代謝抑制によって阻害されることに基づくものと推察された.

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