7 巻 (1982) 2 号 p. 181-186
殺菌剤ジアルキルジチオランイリデンマロナート類のヒメダカによる生物濃縮率は, メチル体の0.68からn-ブチル体の102まで変化した. アルキル基が大きくなると生物濃縮も大きくなり, その対数値は分子の疎水性パラメータであるlogPと非常に良好な直線的相関関係を示した. これら殺菌剤のアルカリ水溶液 (0.1N KOH) 中での半減期もメチル体の3分間から, t-ブチル体の60分間まで変化した. この変化はアルキル基上のα-置換に伴う電子的効果 (σ*) でよく説明できた. 魚と水を含む系全体での化合物の減少は, n-プロピルとn-ブチル体で速く, メチル, エチル, i-プロピルそしてt-ブチル体で遅かった. この化合物減少速度は, 魚体への濃縮とそこでの分解 (おそらくアルカリ加水分解と反応メカニズム的に類似するエステラーゼなどによる分解) 速度に依存するものと考えられた.