日本公衆衛生雑誌
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公衆衛生活動報告
東京23特別区の高齢者の標準化要支援・要介護者比 介護予防を軸とした公衆衛生活動の評価指標の開発
永見 宏行金田 麻里子天野 タエ子伊藤 史子北島 和子木村 馥高橋 忠雄丸山 浩一吉村 伸子渡辺 紀明
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2002 年 49 巻 3 号 p. 205-210

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抄録

目的 介護予防を軸とした現場の公衆衛生活動の評価指標を開発する。
方法 平成10年に介護保険準備のために実施された要援護高齢者等の実態調査結果より,東京23特別区の「標準化要支援・要介護者比」を算出し,地域差および他の健康指標との相関を検討した。
結果 区別の標準化要支援・要介護者比は,都心,山手,西部の区で低く,南部,東部の区で高い傾向を示し,地域差が存在した。
区別の標準化要支援・要介護者比と他の健康指標との関連においては,平均寿命(女),65歳平均余命(男),同(女)それぞれとの間で負の相関を,脳血管疾患(男),同(女),心疾患(男),同(女)および胃がん(女)それぞれの標準化死亡比との間で正の相関を,一人当たり部屋面積との間で負の相関を示した。
ブロック別の標準化要支援・要介護者比は,余暇活動(講座・講演,ボランティア,スポーツ,サークル,その他)への参加状況との間で負の相関傾向を示した。
結論 標準化要支援・要介護者比は,住民にわかり易く,区市町村レベルで算出できる指標であり,介護保険が定着した段階では,介護予防を軸とした現場の公衆衛生活動の評価指標として使用できることが示唆された。

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© 2002 日本公衆衛生学会
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