日本公衆衛生雑誌
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原著
乳幼児を持つ母親の精神的健康度に及ぼすソーシャルサポートの影響
藤田 大輔金岡 緑
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2002 年 49 巻 4 号 p. 305-313

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抄録

目的 乳幼児をもつ母親の育児ストレスの原因として,核家族化の進行に伴うソーシャルサポートの低下が懸念されている。そこで今回,乳幼児をもつ母親のストレス反応を中心に,ソーシャルサポートの認知と,育児負担感の構成要素となる育児に対する否定的感情との関連性について検討した。
方法 調査対象者は,大阪府 I 市在住の乳幼児をもつ核家族の母親909人で,4 か月・1 歳 6 か月・3 歳 6 か月乳幼児健康診査を利用し,健康診査対象児の保護者宛てに「育児に関する調査」と題した質問紙を事前郵送にて配布,健康診査時に回収した。調査期間は2000年 8 月から 9 月であった。調査内容は,個人的背景変数と心理調査項目のうち,ストレス反応としての精神的健康度,育児負担感の構成要素として育児に対する否定的感情の認知,支援ネットワーク尺度をとりあげ分析した。
結果 乳幼児をもつ母親については,各群すべてにおいて精神的健康度の平均がストレス状態と判定された。育児に対する否定的感情の認知では,経産婦において有意に高い傾向であった。一方,子どもの年齢別の推移では,子どもの成長に伴い,支援ネットワークの認知が有意に低くなり,同時に育児に対する否定的感情が有意に高くなる傾向が観察された。各変数間の相関では,育児に対する否定的感情はストレス反応に対して正の関連性,ソーシャルサポートの認知はストレス反応と育児に対する否定的感情に対して負の関連性を示した。
結論 乳幼児をもつ母親はストレスフルな状態にさらされており,そのストレスの認知には,育児に対する否定的感情の認知と支援ネットワークとしてのサポートの認知が関連することが明らかとなった。したがって,母親のサポート感充足のための支援を行うことは,育児によって生じるストレッサーをネガティブなものと評価するレベルを減弱させ,問題の回避あるいは対処行動を促し,母親自身の心身の健康を増進させることによって,育児の継続・充実が期待されるものと考えられる。

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© 2002 日本公衆衛生学会
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