日本公衆衛生雑誌
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訪問看護ステーション利用者における感染リスクが高い医療処置実施状況 —医療機関併設の有無による比較—
中山 栄純滝内 隆子城戸口 親史前田 修子水島 ゆかり天津 栄子
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2003 年 50 巻 12 号 p. 1153-1157

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抄録

目的 医療法の改正による在宅療養者の増加から,在宅における感染管理は今後ますます重要になる。今回,訪問看護ステーションを対象に在宅における感染リスクが高い医療処置の実施状況を把握するためのアンケート調査を行った。
方法 I 県内の全訪問看護ステーションを対象に郵送によるアンケート調査(調査期間2001年11月22日~12月 5 日)を行い,有効な回答が得られた43施設(有効回答率87.8%)を本研究の調査対象とした。調査内容は2001年 9 月における①訪問看護ステーション利用者数,②「在宅療養指導管理料」及び「重症者管理加算」算定対象を参考に在宅において感染リスクが高いと考えられる医療処置14項目の実施者数,③感染管理に関して各訪問看護ステーションで使用および参考にしている媒体の有無とした。
結果 感染リスクが高い医療処置の主な実施者数は,褥瘡処置133人(9.4%),膀胱留置カテーテル84人(5.9%),経管栄養83人(5.9%),口腔・鼻腔内吸引,酸素吸入がそれぞれ59人(4.2%)であり,実施者数が 0 人の医療処置はなかった。医療機関併設の有無で比較した場合,医療機関併設群で実施率が有意に高かった項目は,点滴静脈内注射,中心静脈栄養,気管カニューレ交換,膀胱洗浄の 4 項目であった。感染管理に関して使用および参考にしている媒体があると答えた施設は医療機関併設群で11施設(78.6%),医療機関非併設群で15施設(51.7%)であった。独自のマニュアルおよび併設施設のマニュアルを一部改変して使用および参考にしている割合は医療機関併設群で 7 施設(50.0%),医療機関非併設群で 3 施設(10.3%)であり,医療機関併設の有無で有意な差がみられた(P<0.01)。
結論 訪問看護ステーションにおいて,感染リスクが高い医療処置14項目が行われていた。血液感染のリスクが高い医療処置など比較的医師が行うことの多い処置を除き,各医療処置の実施率は医療機関併設の有無でほとんど差がなかった。しかし,感染管理の独自のマニュアルおよび併設機関のマニュアルを一部改変して使用および参考にしている割合は医療機関非併設群の方が有意に低く,感染対策の遅れが示唆された。

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© 2003 日本公衆衛生学会
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