日本公衆衛生雑誌
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日帰り介護施設(デイサービスセンター)の利用者の生活食事状況と嚥下機能の関係
森田 一三中垣 晴男熊谷 法子奥村 明彦桐山 光生佐々木 晶浩根崎 端午阿部 義和才藤 栄一
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2003 年 50 巻 5 号 p. 456-463

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抄録

目的 高齢者の身体的,精神的な状態は日々変化している。同様に摂食・嚥下機能も身体的,精神的な影響をうけて変化するものと考えられる。そこで,日常の生活状況が嚥下機能とどのようにかかわっているかを明らかにするために本研究を行った。
方法 日帰り介護施設(デイサービスセンター)6 施設の利用者,男性105人,女性219人を対象として聞き取り調査および反復唾液嚥下テストを行った。内容は,手段的日常生活動作能力(IADL)および移動能力,食事や嚥下に関する状況および身体状況に関する質問を行い,さらに反復唾液嚥下テストを用いて嚥下機能の判定を行った。
結果 IADL と反復唾液嚥下テストの関係では,女性において買い物,家事,食事の準備,お金の管理が自立している者は嚥下状態も有意に良好であった。移動能力と反復唾液嚥下テストの関係では,男女において移動能力が高いほど嚥下状態も良好であった。生活食事の状況と反復唾液嚥下テストの関係では,男女において,食事が自立している者,普通食を食べることができる者,よく笑う者は有意に嚥下状態が良好であった。
結論 高齢者において,嚥下状態が良好であることと,日常生活や,移動が自由にでき,食堂において自分で普通食を食べ,笑うことが出来る状態との間には関連があることが示唆された。

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© 2003 日本公衆衛生学会
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