日本公衆衛生雑誌
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資料
死亡小票からみた愛知県の突然死
松本 一年松原 史朗玉腰 暁子川村 孝
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2003 年 50 巻 6 号 p. 540-546

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抄録

目的 突然死の予防対策上の基礎資料を作成することを目的として,死亡小票を用いた記述疫学的研究を行った。
方法 名古屋市を含む愛知県全域における1994年の死亡小票の全数調査を実施し,原死因の発症から24時間以内の内因性の死と定義した突然死を抽出した。その突然死の発生頻度を算出するとともに,原死因や時間的特性について分類・集計し,記述した。
成績 突然死は7,813例(男4,276例,女3,537例)認められ,その発生率は人口10万人当たり年間114人(男124人,女104人)であった。突然死のうち前期高齢者(65~74歳)が20.1%,後期高齢者(75歳以上)が54.6%を占めていた。また,同年の愛知県の全死亡(41,111例)に対する突然死の割合は19.0%(男19.1%,女18.9%)であった。突然死の原因疾患は,「急性心筋梗塞」が13%,心不全など「その他の心血管疾患」が58%,「脳血管疾患」が12%であった。突然死は12月から 3 月と 8 月に多発し,曜日による差はごくわずかで,1 日の中では 6~14時に高頻度であった。この季節変動や日内変動は主に「その他の心血管疾患」によってもたらされていた。
結論 突然死の発生率は,年齢に著しく依存し高齢者になるほど多く,その発生は季節や時刻の影響がみられた。突然死の大部分が循環器疾患と考えられるので,突然死の発生を予防するためには,循環器疾患の各病型に対する予防対策を推進することが重要であると考えられた。

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© 2003 日本公衆衛生学会
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