日本公衆衛生雑誌
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通常の学級や特殊学級に在籍する障害児の心身の健康状態と養護教諭の役割について
飯島 久美子四條 美由紀広瀬 東男
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2003 年 50 巻 8 号 p. 724-731

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抄録

目的 通常の学級ならびに特殊学級に在籍する障害児の心身の健康状態を明らかにし,養護教諭の役割について検討することを目的とする。
方法 Y 県内の公立小学校の校長,および特殊学級のある小学校では特殊学級の担任を対象として,平成10年 6 月~8 月末に郵送による自記式アンケート調査を行った。アンケートの項目は,1)校長:特殊学級設置の有無,特殊学級や養護学校対象と考えられる児童の有無等,2)特殊学級担任:障害児教育経験の有無,子どもたちの障害状況,養護教諭との関わりなどである。
結果 回答の得られた135校のうち,特殊学級のない学校(87校)で,特殊学級,あるいは養護学校の対象となる児童がいるのは27校で41人,特殊学級のない学校のみでの頻度は約0.3%となった。特殊学級在籍の児童は177人であり,主障害の種類は,知的障害が最も多く142人(79.8%)であった。重複障害のある児童は77人(43.3%),障害に対して医療を必要とする児童が61人(34.3%)となっていた。特殊学級担任と養護教諭との関わりでは,日頃から「よく取れている」,「普通」をあわせると約 9 割で,その内容は「障害やその対処法を知る」,「障害児への生活指導」などであった。
結論 通常の学級にも種々の障害児が在籍している。特殊学級の担任であっても,こうした児童に対する教育だけではなく,一般児童との交流,合併症への対処等悩みは多い。担任一人,あるいは学校の中だけで解決できる問題ではなく,医療機関,教育機関等とのネットワークをつくり,組織的な対応が必要である。また,養護教諭は障害児の健康面での専門家とみられており,学校でのアドバイザー並びに医療機関との橋渡しとしての役割が期待されるのではないだろうか。

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© 2003 日本公衆衛生学会
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