日本公衆衛生雑誌
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京都市難病患者の実態調査結果の検討
板垣 泰子土井 渉長井 迪子吉山 真紀子
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2004 年 51 巻 4 号 p. 280-286

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抄録

目的 京都市在住で,特定疾患治療研究事業の医療費公費負担制度を利用している受給者(難病患者)の,5 年間の患者数と療養生活の変化を検討した。
方法 平成 8 年および平成13年に特定疾患治療研究事業により医療費公費負担を受けた京都市在住の難病患者全員を対象とし,郵送法による質問調査を実施した。
成績 1) 5 年間で患者数は,4,097人から5,891人と1.4倍に増加していた。
 2) 医療処置を必要とする患者は増加していたが,中でも長期の臥床や治療の継続に起因する,二次的な症状への処置の増加が目立った。
 3) 日常生活や通院に介助を要する患者は,2 倍に増加していた。
 4) 介護保険導入後,療養生活は過ごしやすくなったとする患者が52.8%を占めていた。
結論 難病患者の数的増加と,疾病の慢性化,重度化は,療養生活での要介護者の増大をもたらしていた。この状況は今後も持続すると考えられ,医療施策・福祉施策の再整備が必要と思われた。

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© 2004 日本公衆衛生学会
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