日本公衆衛生雑誌
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放射線災害を想定した地方自治体および保健所保健師の取り組みと認識
北宮 千秋
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2011 年 58 巻 5 号 p. 372-381

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抄録

目的 放射線災害を想定した平常時の保健活動と保健師の認識をみいだすことを目的とした。
方法 原子力施設立地県および隣接する 2 県の県保健所および市町村の全数にあたる124施設の健康危機管理を担当する保健師 1 人を対象とし,郵送による質問紙調査を行った。調査期間は2009年10月~11月。調査内容は過去10年の災害の有無,災害時保健師活動の研修受講の有無,放射線(原子力)災害の想定の有無,放射線災害へのマニュアルの有無,災害に関する不安,平常時の災害保健活動(業務量)などとした。倫理的配慮として,調査の趣旨,無記名とすること,自治体を特定しないこと,統計的に処理することなどを記載の上,調査票の投函をもって同意を得た。
結果 調査票の回収率は71.8%であった。所属施設において放射線災害を想定しているのは 9 施設であり,放射線災害マニュアルは12施設が整備していた。防災訓練に参加しているのは 2 市町村,5 保健所であった。保健師の役割は 2 市町村ともに避難誘導の役割であり,4 保健所では,問診,健康相談,健康状態の把握,災害発生時の行動と体調の確認,精神的不安の軽減を行っていた。放射線に関する研修会への保健師の派遣は,原子力発電所の立地県の 4 施設にみられた。災害(全般)が発生したとき,保健師としての役割を果たす上での不安には,「知識不足(β=−0.404,P<0.01)」と「自分の安全性(β=−0.233,P<0.01)」が影響を与えていた。
結論 マニュアル等の整備とともに,過去の住民への健康被害および対処行動に関する資料に触れる機会をもつことが,災害時の対応へと結びつくと考えられた。

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© 2011 日本公衆衛生学会
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