日本公衆衛生雑誌
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研究ノート
妊娠判明後のパートナーの喫煙行動の変化と関連要因
纐纈 朋弥後閑 容子石原 多佳子玉置 真理子後藤 忠雄小林 鈴香
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2013 年 60 巻 4 号 p. 212-221

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抄録

目的 妊産婦とそのパートナーを対象とした禁煙サポートプログラム作成のために,妊娠判明後のパートナーの喫煙行動に焦点を当て,妊娠を境に禁煙する者と喫煙を継続する者の関連要因を明らかにすること。
方法 兵庫県 A 市,岐阜県 B 市の 4 か月児健診対象児1,198人(A 市776人,B 市422人)の父母を対象にそれぞれの児の健診時に無記名自記式質問紙調査を実施した。調査項目は次の通りである。調査対象者全員:年齢,最終学歴,喫煙歴,現在の喫煙状況,喫煙に関する認識。パートナーへの追加項目:職業,職場の喫煙状況,喫煙に対する態度等。女性への追加項目:子どもの数,家族構成,妊娠判明時のパートナーの喫煙に対する態度とその対応等である。
  有効回答数(父母ペア)および有効回答率は A 市776組中558組(71.9%),B 市422組中395組(93.6%)であった。そのうち本研究では,妻の妊娠判明前に喫煙していたパートナーを分析の対象とし,調査対象地域別に妊娠を機に禁煙した者(以下「喫煙中止群」)と喫煙を継続した者(以下「喫煙継続群」)で項目ごとの比較分析および,この 2 群を目的変数とし,両群で統計学的に差が認められた項目と調査対象地域に関連した項目を説明変数として,ロジスティック回帰分析により検討した。
結果 分析対象としたパートナー A 市558人,B 市395人のうち妊娠判明前に喫煙していた者は A 市210人(37.6%),B 市204人(51.6%)であった。そのうち今回の妊娠判明後禁煙した者は A 市16人(7.6%),B 市26人(12.7%)であった。
  ロジスティック回帰分析の結果,子どもの数が 2 人以上のオッズ比は,2.77(95%信頼区間:1.17–6.57),パートナーが妻の妊娠判明時にタバコを今すぐやめようと思った場合のオッズ比は0.05(95%頼区間:0.01–0.18),妊娠判明時にパートナーの喫煙に対し女性が禁煙を強くすすめている場合のオッズ比は0.19(95%信頼区間:0.08–0.44)であった。
結論 子どもの数が 2 人以上になると妊娠判明後も喫煙を継続し,妻の妊娠判明時にパートナーが今すぐタバコを止めようと思うこと,女性がパートナーの喫煙に対し禁煙を強くすすめることで喫煙を中止しやすいことが示唆された。

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© 2013 日本公衆衛生学会
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