日本公衆衛生雑誌
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原著
血清総コレステロール値と要介護認定リスクに関する前向きコホート研究 鶴ヶ谷プロジェクト
星 玲奈遠又 靖丈柿崎 真沙子坪谷 透永井 雅人渡邊 生恵寳澤 篤辻 一郎
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2013 年 60 巻 8 号 p. 435-443

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抄録

目的 地域高齢者における血清総コレステロール値と要介護認定リスクとの関連を前向きコホート研究により検討すること。
方法 仙台市宮城野区鶴ヶ谷地区の70歳以上の住民全員(2,925人)に対し,高齢者総合機能評価「寝たきり予防健診」を平成15年に行った。受診者(958人)のうち,研究の同意が得られ要介護認定非該当であった827人を解析対象者とし,平成21年 6 月まで 6 年間追跡した。血清総コレステロール値は 5 分位に分け,第四 5 分位群(212–230 mg/dL)を基準群とし,要介護認定リスクを Cox 比例ハザードモデルによりハザード比(HR)と95%信頼区間(95%CI)を算出した。
結果 6 年間の追跡調査で214人が要介護認定(要支援 1~要介護 5)を受けた。血清総コレステロール低値と要介護認定リスクとの間には有意な負の関連があり,第四 5 分位群(212–230 mg/dL)を基準群として多変量調整した HR(95%CI)は177 mg/dL 未満群(最低 5 分位群)で1.91(1.23–2.98),177–194 mg/dL 群で1.36(0.85–2.18),195–211 mg/dL 群で0.99(0.62–1.56),231 mg/dL 以上群で1.38(0.88–2.17)であった。また,高感度 C 反応蛋白(CRP)が高値の者,がん•肝臓病既往歴ありの者,肝機能指標が基準値外の者を除外した解析でも,血清総コレステロール低値で要介護認定リスクの有意な上昇を認めた。
結論 様々な交絡要因を調整しても,血清総コレステロール低値で有意なリスク上昇を認めた。

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