日本公衆衛生雑誌
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原著
健康づくりのための身体活動基準2013による身体活動評価とメタボリックシンドローム 横断研究
川上 諒子村上 晴香宮武 伸行澤田 亨樋口 満宮地 元彦
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2014 年 61 巻 12 号 p. 705-717

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抄録

目的 本研究は,「健康づくりのための身体活動基準2013」で推奨されている身体活動量の基準(3 メッツ以上の強度の身体活動を23メッツ・時/週)および身体活動量の方向性(身体活動量を今より少しでも増やす。たとえば毎日10分長く歩く:プラス・テン)を満たすこととメタボリックシンドロームとの関連について横断的に検討した。
方法 対象者は,23歳から64歳までの成人男女906人であった。3 次元加速度計を用いて,3 メッツ以上の身体活動量を客観的に測定し,身体活動量の基準の達成を評価した。身体活動量の基準達成と日本の診断基準に基づくメタボリックシンドロームとの関連について検討するため,多変量ロジスティック回帰モデルを用いて調整オッズ比および95%信頼区間を求めた。さらに,身体活動量の方向性との関連について検討するため,1 日10分の歩行に相当する3.5メッツ・時/週の身体活動量の増加ごとの調整オッズ比を求めた。
結果 メタボリックシンドロームの該当者は40人(4.4%),メタボリックシンドローム予備群は93人(10.3%)であった。身体活動量の基準未達成者に対する達成者のメタボリックシンドローム予備群以上の調整オッズ比(95%信頼区間)は,0.49(0.33-0.74)と有意な関連が認められた。また,3.5 メッツ・時/週ごとの身体活動量の増加に対する調整オッズ比は,0.92(0.87-0.98)と有意な負の量反応関係が認められた。
結論 身体活動量の基準や身体活動量の方向性(プラス・テン)を満たすことは,メタボリックシンドロームの低い頻度と関連することが示唆された。

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© 2014 日本公衆衛生学会
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