日本公衆衛生雑誌
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病院小児科医師による障害児への障害福祉サービス紹介の実態
植田 紀美子
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2014 年 61 巻 2 号 p. 93-99

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抄録

目的 障害が判明した時の障害児家族支援,就学前期の障害福祉サービスの紹介,および学齢期•青年期の障害児に対する地域生活支援の紹介,障害福祉サービスの情報収集について,病院小児科における実態を明らかにする。
方法 全国の日本小児科学会が認定する専門医研修施設518施設に対して無記名自記式質問票による調査を実施した。調査対象者は,部長や医長など小児科の全貌を把握している医師とした。質問票は,障害が判明した時の障害児家族の心理的反応に対する対応,就学前期(障害が判明した時から就学まで)の障害児への障害福祉サービス(療育•医療費の助成•地域生活支援)等の紹介,学齢期•青年期の障害児に対する地域生活支援における医療機関の役割などである。回答結果を記述的に集計した。
結果 278病院(回収率53.7%)から回答を得た。障害が判明した時,主治医は家族の心理的反応に留意して対応していた。就学前期では,障害児通園施設や児童サービス等の発達支援に関する障害福祉サービスについて,97.9%が「紹介している」とした一方で,相談支援,移動支援,日常生活用具給付,地域活動支援等の地域生活支援に関するサービスについては,13.3%で「紹介しない」と回答していた。学齢期•青年期では,障害福祉サービス等の紹介など,地域生活支援については50.0%が「役割を担っていない」と回答していた。療育や地域生活支援に関する障害福祉サービス等の最新情報の入手について,「特に何もしていない」と回答した者は39.6%であった。情報収集していると回答した者でも受動的に情報が入手できる者は少なく,医師が自ら情報収集していた。
結論 病院小児科は,障害児に対して早期発見からフォローアップまで一貫した関わりができる。障害児のすべてのライフステージにおける障害福祉サービスの充実に向けては,福祉•行政からのアプローチの重要性は言うまでもないが,病院小児科においては,障害が判明した時の家族へのきめ細かな心理社会的支援の提供,障害福祉サービスを紹介できるようなシステムの構築,マンパワーの強化が必要である。

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© 2014 日本公衆衛生学会
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