日本公衆衛生雑誌
Online ISSN : 2187-8986
Print ISSN : 0546-1766
ISSN-L : 0546-1766
研究ノート
自殺対策における保健師の NPO 等支援団体との協働方法
丸谷 美紀岡田 由美子長谷川 卓志
著者情報
キーワード: 自殺対策, 協働, 保健師, NPO
ジャーナル フリー

2016 年 63 巻 1 号 p. 26-35

詳細
抄録

目的 保健師の自殺対策に取り組む NPO 等支援団体(以下,支援団体)との協働の方法を明らかにする。
方法 2012年12月から2013年10月の期間に,11の支援団体の代表者,および,その支援団体が存在する自治体で自殺対策を担当する保健師13人へ,半構造化面接を行った。調査内容は,自殺対策の活動全体,支援団体と保健師との協働の詳細,自殺対策の成果と課題等であった。支援団体と保健師それぞれの調査内容を質的帰納的に分析し,協働の方法に関してカテゴリをそれぞれ作成した。両者のカテゴリを突合し,同様の内容が読み取れるものを,協働の方法のコアカテゴリとした。
結果 協働の方法のコアカテゴリは,次の 6 つが得られた:1. 自殺の実態と相互の役割理解の元に活動基盤を整える,2. 相互の目的/特徴に即した啓発活動を展開する,3. 各自の活動や協働の場で遭遇したハイリスク者の健康と生活を補い合って支援する,4. 危機介入時に補い合って命を守り生活を再建する,5. 各自の活動や協働の場で遭遇・接近した遺族・未遂者の快復に寄り添う,6. 互いの結束や評価の元に活動を継続・拡大する。
結論 自殺対策において保健師の支援団体との協働の方法は次のことが明らかになった。支援団体の公民としての責任感を理解し,保健活動で蓄積した情報を共有し,ハイリスク者の健康の社会決定要因を改善するとともに基本的ニードを満たし,活動基盤や事後の衝撃を支え合い,行政の対応能力・機敏性を意識的に高める。

著者関連情報
© 2016 日本公衆衛生学会
前の記事
feedback
Top