日本公衆衛生雑誌
Online ISSN : 2187-8986
Print ISSN : 0546-1766
ISSN-L : 0546-1766
原著
中高年を対象とした食事調査票からの食事パターンの抽出と栄養素摂取量の評価
伊藤 智子谷澤 薫平川上 諒子樋口 満
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 63 巻 11 号 p. 653-663

詳細
抄録

目的 食事と健康との関連において食事パターンを用いた検討が行われているが,食事パターンを構成する複数の栄養素について,適正な量が摂取されているかを検討した報告は少ない。そこで,本研究では,主成分分析により中高年男性における代表的な食事パターンを同定し,各食事パターンと栄養素摂取量との関連を検討した。さらに,微量栄養素について,食事摂取基準(2010年版)で推奨されている指標を用いて複数の微量栄養素が適正量に摂取されているかを数値化して簡易的に評価し,食事パターンとの関連を検討することを目的とした。

方法 40歳から79歳の中高年男性229人を対象として,簡易型自記式食事歴法質問票 brief-type self-administered diet history questionnaire(BDHQ)による栄養調査を行った。52の食品および飲料の摂取量から主成分分析を行い,食事パターンを同定した。BDHQ によって推定された微量栄養素のうち,食事摂取基準値が策定されている21種類の微量栄養素が適正量に摂取されているかを数値化して評価するために Dietary reference intakes score(DRIs-score)を作成した。各食事パターンにおいて複数の微量栄養素が適正量摂取されているかを検討するために,各食事パターンの主成分得点と DRIs-score において Spearman の順位相関係数を求めた。

結果 主成分分析の結果,3 つの食事パターンが同定された。第 1 食事パターンは野菜,果物,海草,きのこ,いも類が多く,ご飯(めし)が少ない「副菜型」,第 2 食事パターンはアルコールが多い「晩酌型」,第 3 食事パターンは果物・乳製品・菓子類が多い「間食型」とした。第 1 食事パターンの「副菜型」において,主成分得点と DRIs-score を構成するすべての微量栄養素との間に有意な相関関係が認められ,DRIs-score との間には有意な正の相関関係(ρ=0.782, P<0.001)が認められた。

結論 第 1 食事パターンの「副菜型」の主成分得点は,日本人の食事摂取基準をもとに複数の微量栄養素の摂取が適正量であるかを評価した DRIs-score と相関し,第 1 食事パターンの重み付けが高い程,微量栄養素の栄養バランスが良好であることが示唆された。

著者関連情報
© 2016 日本公衆衛生学会
次の記事
feedback
Top