日本公衆衛生雑誌
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原著
心疾患で在宅療養する地域在住高齢者の心身機能の特徴
解良 武士河合 恒吉田 英世平野 浩彦小島 基永藤原 佳典井原 一成大渕 修一
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キーワード: 心疾患, 高齢者, 心身機能
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2017 年 64 巻 1 号 p. 3-13

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抄録

目的 心筋梗塞や心不全などの心臓病は生存率が飛躍的に向上したが,その一方で高齢化が深刻である。そのため地域で在宅療養する心疾患を有する高齢者の心身機能を,心疾患を有さない高齢者と比較しその特徴を明らかにすることとした。

方法 対象は本研究所で行っている“お達者健診”に2014年に調査へ参加した地域高齢者758人とした。このうち心疾患を有し治療を継続している心疾患群(男性47人,女性28人)と非心疾患群(男性263人,女性420人)の2群を抽出した。まず共存症や服薬状況,基本チェックリスト,社会的背景(生活習慣,運動習慣,介護保険,JST版新活動指標)を看護面接により聴取した。心身機能としては,体組成,握力,5 m歩行時間(通常速度,最大速度),Timed up & Go test(TUG),片足立ち時間,認知機能,うつを評価した。フレイルは基本チェックリストを用いて評価した。2群間の比較にはt検定とMann-Whitney U testを用いた。心疾患と心身機能低下との関連を検討するために,心疾患の有無(非心疾患群(0),心疾患群(1))を従属変数に,それ以外の2群間に有意差が認められた心身機能を独立変数へ投入して多重ロジステック回帰分析を行った。

結果 男性では心疾患群で握力と片足立ち時間が低下し,JST版新活動指標も低かった。女性では5 m歩行時間(通常速度,最大速度)が延長した。男女とも服薬数が多く,心疾患治療薬,脂質代謝異常薬などの服薬が多かった。多重ロジステック回帰分析の結果,5 m歩行時間(最大速度)が心疾患の有無に関連する要因として抽出された。

結論 地域高齢者であっても心疾患に対する治療を行っているものは何らかの心身機能の低下を有し,それらの原因としては活動量の低下や服薬が考えられた。

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