日本公衆衛生雑誌
Online ISSN : 2187-8986
Print ISSN : 0546-1766
資料
保健師養成機関における「公衆衛生看護の倫理」教育の実態
小林 真朝麻原 きよみ大森 純子宮﨑 美砂子宮﨑 紀枝安齋 由貴子小野 若菜子三森 寧子
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 65 巻 1 号 p. 25-33

詳細
抄録

目的 公衆衛生看護の倫理に関するモデルカリキュラム・教育方法・教材開発のために,全国の保健師養成機関における倫理教育に関する実態を把握することを目的とした。

方法 全国の保健師養成機関(専修学校(1年課程の保健師養成所,4年課程の保健看護統合カリキュラム校),短大専攻科,大学)229校に質問紙を送付し,公衆衛生看護教育を担当する教員に回答を求めた。

 質問紙の内容は,回答者および所属機関の属性や保健師資格教育の形態のほか,公衆衛生看護の倫理の独立・関連科目の有無と導入予定,公衆衛生看護以外の倫理科目,公衆衛生看護の倫理を学ぶことの重要性や望ましい対象など,担当できる教員の有無やその研修の必要性,教育にあたって必要な資源,公衆衛生看護の倫理として扱う内容などを尋ねた。回答は変数ごとの記述統計量を算出するとともに,自由記載の内容分析を行った。

結果 全国の保健師養成機関に質問紙を送付し,89校(回収率38.9%)から回答を得た。保健師養成機関の内訳は大学78.7%,短大専攻科4.5%,専修学校9%であった。公衆衛生看護の倫理の独立科目はなく,9割近くは導入予定もなかった。42.7%が科目の一部で公衆衛生看護倫理を扱っていた。公衆衛生看護倫理を学ぶ重要性については「非常に重要・ある程度重要」を合わせて9割であった。58.4%が保健師教育において公衆衛生看護の倫理に関する授業を必須化する必要があると回答したが,倫理教育を担当する教員については4割以上が「いない」と回答した。教員の研修は8割以上が必要と答え,必要な研修形態は「専門職団体や学会などによる学外研修」が8割と最も多かった。必ず行う必要があると思われる公衆衛生看護の倫理教育の内容の上位は「公衆衛生看護実践者としての職業倫理」,「健康と基本的人権」,「個人情報とその保護」,「公衆衛生看護における倫理」,「公衆衛生看護における倫理的自己決定」であった。

結論 公衆衛生看護倫理教育はその必要性は高く認識されているものの,実施率は低かった。モデルカリキュラム,教材,教授できる教員が不足していること,教授が必要とされる公衆衛生看護の倫理の教育内容が体系化されていない現状が明らかになった。公衆衛生看護倫理の定義の合意形成と,モデルカリキュラムと教育方法,教材の開発,教員の養成が急務であると考えられた。

著者関連情報
© 2018 日本公衆衛生学会
前の記事
feedback
Top