日本公衆衛生雑誌
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原著
地域在宅高齢者における転倒恐怖感と日常生活活動との関連
富田 義人有馬 和彦川尻 真也辻本 律金ヶ江 光生水上 諭岡部 拓大山本 直子大町 いづみ中原 和美西村 貴孝安部 恵代青柳 潔
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2019 年 66 巻 7 号 p. 341-347

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抄録

目的 地域在宅高齢者において,転倒恐怖感と日常生活活動(Activities of daily living: ADL)の一部を構成する4動作(脊柱屈曲動作,脊柱伸展動作,立位持久力,歩行関連動作)困難との関連を明らかにする。

方法 対象は,65歳以上の642人(男性267人,女性375人)である。年齢は72.2±5.1歳であった。転倒恐怖感の有無および,その関連要因として痛み(腰痛または膝痛),転倒歴,慢性疾患,白内障の有無について調べた。ADLは,脊柱屈曲動作(車の乗り降り,床から軽い物を持ち上げる,床から5 kgの物を持ち上げる,靴下を履く),脊柱伸展動作(頭の上に手を伸ばす),立位持久力(2時間立つ),歩行関連動作(100 m歩く,階段を昇る,階段を降りる)について困難の有無を調査した。転倒恐怖感と各ADL項目困難との独立した関連を検討するため,転倒恐怖感の有無を従属変数としたロジスティック回帰分析を行った。

結果 転倒恐怖感有り群は,無し群と比較して男女ともに,有意に年齢が高く(P<0.01),転倒歴を有する割合が高く(P<0.05),痛みを有する割合が高かった(P<0.01)。100 m歩く項目を除いたADL項目困難は,年齢,BMI,性別,転倒歴,痛み,慢性疾患とは独立に転倒恐怖感有りと関連していた。

結論 転倒恐怖感は,脊柱屈曲動作,脊柱伸展動作,立位持久力,100 m歩く項目を除いた歩行関連動作困難との関連を認めた。

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© 2019 日本公衆衛生学会
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