目的 米国CDCについて概説し,今般のCOVID-19拡大とその対応を受けて今後日本版CDCを構想する際に検討するべき論点について提案する。
方法 筆者らがCDCを訪問した際のインタビュー,ウェブサイト等からの情報をもとに,CDCについて概説した。その上で,日本版CDCに関する既存の見解や本邦の現状,COVID-19対応の教訓を踏まえて日本版CDCを構想する上で検討するべき論点を整理した。
結果・結論 CDCは「健康,安全,セキュリティの脅威から米国を守る」ことをミッションとする,公衆衛生の主導的立場にある米国連邦政府機関である。実地疫学,緊急準備と対応,サーベイランス・統計調査,検査方法・調査方法の開発,情報発信,人材育成,検疫,予算配分などを行っており,COVID-19にも様々な対応をしている。日本版CDCを構想する際には,対象とする疾患や課題のスコープ,組織体制,ミッション,科学的中立性の担保,人材育成のあり方などについて議論する必要がある。