日本公衆衛生雑誌
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公衆衛生活動報告
先天性横隔膜ヘルニア患者・家族会立ち上げについて
寺川 由美
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2022 年 69 巻 10 号 p. 824-832

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抄録

目的 先天性横隔膜ヘルニアは,2,000人~5,000人に1人の希少疾患で,2015年から小児慢性特定疾病,指定難病にも指定されている。これまで,患者・家族会は存在せず,患者・家族によるピアサポートや情報の集約・提供は行われていなかった。

方法 同じ疾患の子をもつ家族同士で情報交換や様々な悩みに対する共感をし合い,疾患についての情報を客観的に集約・提供できる場が必要と考え,日本先天性横隔膜ヘルニア研究グループの支援の下,2020年5月,先天性横隔膜ヘルニア患者・家族会を立ち上げた。

活動内容 患者・家族支援の観点から,疾患の特性を考え,①胎児診断,②子育て中,③グリーフケアという3つの場を設け,活動を行うこととした。

 設立後,活動内容の拡がりや会員数の増加とともに,様々な課題が出現した。今後の活動に繋げるため,2021年3月に,会員に対して患者・家族会の活動内容に関するアンケートを行い,会に対するニーズや活動内容に対する評価を分析した。

 設立後1年で会員数は33人に増加した。患者・家族会の活動内容に関するアンケートでは,高い満足度が得られているという結果だったが,利用しているツールや,活動内容,グリーフケアや胎児診断された方への支援など,今後の課題も顕在化した。

結論 今後,様々な立場の患者・家族の安心の場になれるよう,システムの構築を行っていく。また,患者・家族会の社会的認知度の向上を目指した様々な活動を継続し,医療・研究分野との連携を継続することが重要である。

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