2025 年 72 巻 5 号 p. 340-351
目的 地域包括ケアシステムの推進に向け,(公社)地域医療振興協会が運営する医療・介護施設のヘルスプロモーション活動(以下,活動)の実態と施設の種類による活動内容,促進・阻害要因の違いを把握し,今後の活動推進方策を検討することを目的とした。
方法 2022年4月~2023年9月に,Web調査および電話・メールによるヒアリング調査を実施した。調査内容は,1.患者・利用者,地域住民,職員を対象に行っている健康づくり等の活動内容(選択肢),2.組織的に活動を拡充する意欲(10段階スケール),3.促進・阻害要因(自由記載)とした。結果は施設の種類別に分析し,活動内容を2020年版HPH(Health Promoting Hospitals and Health Services)基準と照らして整理した。
結果 回答率は100%であり,全施設活動を実施していた。病院,診療所,介護老人保健施設(以下,老健)の順に実施施設割合(%)と施設の種類間差をみると,患者・利用者(96.0,84.5,94.4,P=0.01),地域(96.0,83.3,100.0,P<0.001),職員(100.0,72.9,94.4,P<0.001)と,診療所が病院・老健と比して有意に低かった.診療所の活動数を職員数別に見た結果,50人未満(S)は,50人以上(L)と比べて,活動数の平均(S,L)が,患者・利用者(4.1,6.2,P=0.03),地域(4.9,9.2,P<0.001),職員(1.6,3.8,P<0.001)と,いずれも有意に少なかった。拡充の意欲は全体として中央値7.0で施設の種類間に差は無く,その規定要素としての重要性は,病院=7.0,診療所=8.0,老健=8.0と,診療所と老健が病院よりやや高かった。促進要因は,病院では推進委員会設置等の「内部の体制づくり」が,診療所と老健では「教材,マニュアル,ノウハウ等の提供」が最多だった。阻害要因の1位は,施設の種類に関わらず「業務負担」だった。活動は2020年版HPH基準をほぼ満たしていたが,評価体制に改善の余地が見られた。
結論 全施設,すでにWHOのHPH基準に沿った活動を実施し,拡充にも意欲的だった。活動の推進には,組織の体制整備,活動に収益性があること,評価指標の開発と成果の測定,評価体制の構築が不可欠であると示された。