日本公衆衛生雑誌
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行政保健師による精神障害者の就労継続支援の内容
西谷 梨花田渕 紗也香月野木 ルミ
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論文ID: 21-101

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抄録

目的 精神障害者の地域移行に伴い生活基盤の構築のために在宅精神障害者の就労支援が推進される中で,精神障害者の就労が継続するための行政保健師が行う支援内容を明らかにすることを目的とした。

方法 本研究では,質的記述的研究を用いた。研究対象者は,関東圏または関西圏の都道府県型保健所もしくは中核市,政令指定都市での勤務経験が10年以上あり,2013年以降の精神保健福祉担当経験が3年以上ある保健師5人とした。インタビューガイドに基づく半構造化面接を行い,①就労移行期・就労継続期にある精神障害者と家族が抱える主な困難や問題とその支援内容,②精神障害者と家族が就労意欲を維持するための支援内容について質問した。行政保健師による「就労支援」は,行政保健師が「精神障害者とその家族に対して,就労移行と就労継続できるよう行う支援」と定義した。データ分析は,逐語録からコード化,コードの類似性・相違性を比較しながら,抽象度を上げて,サブカテゴリー,カテゴリーを抽出した。

結果 精神障害者の就労が継続するために行政保健師が行う支援内容について,6カテゴリー【人生における就労の意味・目標を明確にし,本人の主体性を引き出す】【病状を見極めて就労支援を進める】【本人の強みを生かし,本人の希望に合った就労支援の計画を立てる】【就労継続の支援体制を整え,就労の振り返りと次のステップを一緒に考える】【家族が就労の支え方に気づけるように促す】【精神障害者や支援者とともに精神障害者の就労を支える地域づくりを行う】と14サブカテゴリーが抽出された。カテゴリーは,行政保健師の属性,地域,経験の違いによらず共通していた。

結論 本研究結果から,行政保健師による精神障害者の就労から定着までの支援内容が明らかとなった。行政保健師による精神障害者の就労継続支援は,本人だけでなく家族支援や地域づくりまで展開した支援を行う必要性が示唆された。

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