日本公衆衛生雑誌
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多重介護の現状と課題:介護支援専門員を対象とした調査より
佐々木 晶世叶谷 由佳柏﨑 郁子榎倉 朋美
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論文ID: 21-154

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抄録

目的 要介護者の介護を含む多重介護を担う家族介護者の現状と課題を明らかにすること。

方法 6都府県の居宅介護支援事業所3,123件の介護支援専門員を対象とし,無記名自記式質問紙を送付し,497件から返送,490件を有効回答とした。

結果 83.1%の介護支援専門員が多重介護を支援していた。多重介護事例の被介護者数は「2人」215件(53.3%)が最も多かった。多重介護の課題解決に主介護者の生活も守る視点・介護者ケアが必要と回答する者が多かった。被介護者の最大事例は6人だった。対象者が担当した被介護数の多い事例の主介護者は50代,女性,既婚が最も多く,通院者が36.9%いた。被介護者は80代が多く,被介護者数が多くなるにつれ,18歳以下の子育てや世話も含まれた。回答者が印象に残った多重主介護者の困難・問題は『介護に対する認識による影響』『主介護者の生活が守られない状況』『今後の人生設計の見通しの立たなさ』『サポートネットワークからの孤立』『制度のアクセシビリティとユーサビリティの課題』だった。

結論 従来の被介護者ベースの支援だけでなく,多重介護を担う家族介護者の視点での支援体制を検討する必要性が示唆された。

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