論文ID: 25-092
目的 サービス付き高齢者向け住宅(以下,サ高住)のサービスの質を高め,入居者に良い環境を提供するには,住宅環境と提供されたサービスの評価に有用な指標の開発が重要である。本研究では,サ高住評価指標を作成し,施設・個人レベルを分析単位とし,それらと入居者の健康・ウェルビーイングとの関連を検証することで,サ高住評価に有用な指標の開発を目的とした。
方法 2023年2~3月に積水ハウスシャーメゾンPM東京株式会社が運営するサ高住「グランドマスト」39施設で実施されたアンケート調査データを用いた。個人レベルでは65歳以上の入居者1,085人,施設レベルでは回答者が20人以上の25施設を分析対象とした。アウトカム指標は,3つの健康指標(うつ,認知症リスク,フレイル)および9つのウェルビーイング指標(幸福感・生活満足度,身体的・精神的健康,人生の価値・目的,密接な社会関係)の計12指標である。サ高住評価指標として,高齢者にやさしい都市・コミュニティの指標を参考に,社会参加,コミュニケーションと情報,屋外スペースと建物,交通,住宅に関する28指標を用いた。施設レベルでは分析単位を施設とし,2値化した各指標の割合を用い,Spearmanの順位相関分析(有意水準5%)を実施した。個人レベルでは,年齢,性別などを調整変数として,連続変数のアウトカム指標に対して重回帰分析,二値のアウトカム指標については修正ポアソン回帰分析(有意水準5%)を実施した。両レベルで望ましい関連を示した健康・ウェルビーイング指標数に基づいて,サ高住評価指標の重要度を「重要」「参考」「限定」に分類した。
結果 28サ高住評価指標のうち,施設レベルでは16指標(57.1%),個人レベルでは23指標(82.1%)が,健康・ウェルビーイングの全12指標のうち少なくとも一つの指標と有意な望ましい関連を示した。両レベルで共通して望ましい関連を示した指標は14指標(50.0%)であった。そのうち8指標が「重要」,4指標が「参考」,2指標が「限定」に分類された。
結論 「重要」指標となった社会参加(スポーツの会,趣味の会,学習・教養サークル,特技や経験を他者に伝える活動),コミュニケーションと情報(笑い,交流する友人がいる,家族以外の人と話す),住宅(自分の居室が良い)の8指標がサ高住評価指標として有用である可能性が示唆された。